「Cookie の概要や規制となった背景、ポスト Cookie 時代のマーケティングを解説」
2024年05月10日
よく目にする言葉 クッキー?Cookie?
Web マーケティングを行っていると、一度は Cookie という言葉を目にしたことはあるのではないでしょうか。英語のスペルは Cookie で、普段食べている洋菓子のクッキーと同じ綴りです。語源には諸説あるようです。有名なものには、「クッキーの持つ“保存食”という役割が、ユーザーの情報を“保存”する Cookie の役割と同じであるから」といものがあります。今回は、Web マーケティングと切っても切れない関係にある“保存食”Cookie について解説していきます。
Cookie とは?
Cookie とは、ウェブサイトが自動的に私たちに付与するテキスト情報です。このテキスト情報には「ブラウザを識別するID」と「ユーザーのウェブサイト上での行動履歴」がセットになっており、次回訪問する際にその情報が参照されます。これにより、初回以降も入力した情報やカートの情報などを残した状態にし、私たちのウェブサイト利用の利便性を高めてくれます。
この Cookie には、大きく分けて二つの種類があります。ファーストパーティーCookie と、サードパーティクッキーCookie です。
ファーストパーティーCookie
ファーストパーティーCookie とは、訪問しているウェブサイトが私たちに発行する Cookie です。先述した通り、このファーストパーティーCookie は情報を保存することで利便性を高めてくれます。ECサイトを閲覧した際、ログインしていないのにも関わらず、前回閲覧した商品を表示されるという経験はないでしょうか?これはファーストパーティーCookie のデータ保存の恩恵によるものです。
サードパーティ Cookie
サードパーティ Cookie とは、訪問しているウェブサイトとは違うドメインが私たちに発行する Cookie です。訪問したウェブサイトの表示された広告などから発行されるものが主で、広告媒体はこれを利用してユーザー情報の収集を行うことで、リターゲティングなどを行うことができます。
Cookie 規制の流れ
過去、私たちのウェブサイト上での行動履歴は個人情報として認識されておりませんでした。そのため、Cookie の利用には制限がなく、訪問したウェブサイト以外の第三者でもそれらが無制限に共有されている状態でした。
現在では、これらのウェブサイト上での私たちの振る舞いは、個人情報の一つとして認識されるようになってきております。
そのため、個人情報として保護されるべきものという認識が醸成されていくようになりました。
Cookie 規制のムーブメントは Apple によって引き起こされました。Apple は2017 年、ITP(Intelligent Tracking Prevention)によって、サードパーティ Cookie の利用制限を始めたのです。以下に Cookie 規制の大まかな流れを記載いたします。
Cookie 規制年表
2017 年 9 月 Apple が 0 によりサードパーティ Cookie の利用制限を開始。
2018 年 5 月 EU で GDPR(一般データ保護規制)が発行され
Cookie を個人情報に指定し、取得に同意を必要とした。
2018 年 6 月カリフォルニア州で CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)が成立し、米国での規制も始まる。
2019 年 6 月 Firefox がサードパーティ Cookie を標準でブロック。
2020 年 1 月マイクロソフトがリリースした Edge では
Cookie の管理・削除が可能となった。
2022 年 4 月 日本版 GDPR と言われる個人情報の保護に関する法律の改正。
Cookie を提供先で個人データと紐づける場合にのみ同意を必要とした。
※Cookie そのものは個人情報に値しない
2022 年 7 月 Google が Chrome でのサードパーティクッキーcookie 廃止を発表。
2023 年 6 月日本で改正電気通信事業法が施行され、
Cookie 取得の際には情報提供が義務化。欧米に並ぶ規制強化となった。
Cookie が使えなくなるとどうなるの?
ここまで Cookie やその規制について記述してきましたが、実際に Cookie が規制されるようになるとどのようなことが起こるのでしょうか。影響の多くは広告を出した場合に生じます。サードパーティ Cookie が規制されると、広告からのユーザー情報の取得が難しくなります。これにより、ビュースルーコンバージョンを初めとした広告の効果が正しく計測されなくなったり、リターゲティング機能が使えなくなってしまったりするでしょう。現在、世界トップシェアを誇るブラウザである Google Chrome での規制が行われていません。しかし今後規制を行うことをアナウンスしている以上、今後このようなことが起こることはほぼ確実でしょう。
SEO 対策の観点でも、影響は出ています。ウェブサイトを運営する以上利用が避けられないのが Google アナリティクスです。Google アナリティクスは、ファーストパーティーCookie のみを利用しているため大きな影響は受けないように思えますが、Safari を利用している場合、ITP によりファーストパーティーCookie でも7日間しか情報は保存されないため、同一ユーザーを重複して計測するなど、精確な計測を行うことは困難になります。日本では Safari を利用しているユーザーの割合が高く諸外国と比べても特にこの影響を受けやすいと言えるでしょう。
また、日本国内ではまだ Cookie 利用の同意は必須ではありません。しかし、海外では GDPR を初めとした決まり事によって同意を必要とする場合も多く、グローバルに展開していく場合には同意を得るためのポップアップなどの対策が必要になってきます。
ポスト Cookie 時代の Web マーケティング
ポスト Cookie の時代は、個人情報の取り扱いが慎重となる時代です。そのため、Cookie に依存しない“個人情報保護に配慮した”マーケティングの需要が高まり、そのための技術が日々開発されています。Google の提唱しているプライバシーサンドボックスがその一つです。プライバシーサンドボックスでは、メールアドレスなどの個人を特定できる情報を利用しない ID ベースでの連携をサポートしています。また、ITP対策を行い Google アナリティクスの精度を高める、サーバーサイドタギングなどの技術も生まれています。他方でこのサーバーサイドダギングも規制されるようになるなど、個人情報保護とマーケティングの在り方は日々見直され続けています。
Cookie 規制への対策としては、広告以外となる SEOのチャネル強化は今後益々重要となってくると考えられます。
また、Cookie に依存しないファーストパーティーデータの利用への注目も高まっています。ファーストパーティーデータの特徴は、企業が独自で収集したものとなっておりその多くが、ユーザーの承認を受けて収集しています。そのため、クリーンでかつユーザーの購買データや位置情報データなど信憑性の高いデータを利用することができます。弊社では、AIGeo という位置情報のファーストパーティーデータを利用したターゲティングも行っております。Cookie 時代の Web マーケティングにお悩みの方は勿論、SEOと併せて対策も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。