「Google でハッシュタグ検索？6 月に実装された二つのアップデートを解説」

2024年07月9日

6 月に行われた 2 つのアップデート

今回は 6 月に行われた、二つのアップデートについてお知らせいたします。一口にアップデートと言いましても、そのうち一つは、検索順位を左右するアルゴリズムアップデートの枠に収まるものではなく、ユーザーの検索体験を大きく変えるものです。

アップデートの一つは「スパムアップデート」。ここ数年の間で何度か実施されており、今年の 3 月にも行われました。もう一つが、ハッシュタグ検索の追加です。日本限定ではありますが、遂に Google 検索上でハッシュタグによる検索が行えるようになりました。今回はこの 2 つのアップデートについてご紹介していきます。

スパムアップデートを実施 

 最初にご説明するのが「スパムアップデート」です。2024 年 6 月 21 日に実施され、28 日にその完了がアナウンスされています。このスパムアップデートは過去にも何度か実施されています。主な目的は「検索スパムを自動で検出するシステムのアップデート」であり、『Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー』で規定している検索スパムを検索結果に出さないようにするものです。

 あくまでも検索スパムに対する対策の強化であるため、基本的に対策は不要となります。ただし、「キーワードの乱用」のように SEO対策のつもりで行った行動が裏目に出たり、「ハッキングされたコンテンツ」のように気づかずに対象となったりしている場合もあるかもしれません。このアップデートのタイミングで順位が落ちたなと思った方は、今一度自社のウェブサイトがポリシーに違反していないか、確認してみてはいかがでしょうか。

Google の新たな検索「ハッシュタグ検索」

  Google のハッシュタグ検索は、ユーザーが特定のハッシュタグを使用して関連情報を検索する機能です。例えば「#新宿ランチ」のようにハッシュタグをつけて検索した際に、ハッシュタグがつけられたブログや最新の記事、SNSの投稿やYouTube の動画など、トレンドの情報を表示することができます。この機能は日本だけの実装となっており、日本独自の“推し文化”や“ハッシュタグ文化”に対してローカライズされた機能と言えるでしょう。

ハッシュタグ検索の優位性と SEO への影響

 ハッシュタグ検索の最大の利点は横断性とトレンド性です。Ｘ（旧 Twitter）や Instagram、YouTube でも、これまで各サービス上でハッシュタグを検索することができました。他方でこの Google によるハッシュタグ検索では、X やInstagramのようなSNS に加え、YouTube や Web サイトと、多くのサービスに跨った横断検索が可能となっています。検索ユーザーの視点で見ると、これは他サービスにはない優位性です。各 SNSやウェブサイトによって情報の性質が異なる場合があり、どのサービスで検索してよいかわからない場合でも Google なら網羅的に検索することができるようになるのです。また、これまで SNS でしか検索をしなかったような人に届くことで、Web 運用者から見ても新たな流入口となることが期待される機能となるでしょう。

もう一つの利点はトレンド性です。これまでの Web 検索は、情報の新しさは一つの評価基準ではあるものの、Web サイトの質やコンテンツの質といったものが大きく作用されたランキングとなっていました。しかし、このハッシュタグ検索では、情報や投稿の新鮮さが上位表示の大きなファクターとなっています。そのため、グルメやコスメなどトレンド性の高い最新のコンテンツを高頻度で更新している方にとっては、このハッシュタグをつけることで大きな追い風となるでしょう。

ハッシュタグ検索で変わる私たちの検索行動

 大袈裟に聞こえるかもしれませんが、このハッシュタグ検索の登場によって、日本における検索行動は大きく変化していく可能性があります。若者の検索が SNS に移っていると言われて久しいですが、若者だけでなく、多くの人が Google を用いてよりSNS 的な感覚で情報を探すようになり、企業側もそれに合わせた SEO 対策を迫られることになるでしょう。実際、速度の速い情報社会の中で、情報の陳腐化は加速していると言われています。先月まで正しかった情報が今月はもう遅い情報となっている現代、このトレンド性が重視されたハッシュタグ検索の方が、正しい情報に行きつくことができる状況となっても不思議ではありません。今後のウェブサイト運用では、ハッシュタグを軸としたマーケティングが非常に重要になってくるでしょう。この変化に合わせ、自社のウェブサイトでのハッシュタグの設定をぜひご検討ください。