「ページエクスペリエンスについて振り返る」
2025年12月11日

ページエクスペリエンスとは?
ページエクスペリエンス(Page Experience)とは、Googleが検索順位を決定するシグナルの一つとして導入した指標群で、ユーザーがWebページを閲覧・利用する際に得られる体験の質を評価するものです。
単にページに書かれているコンテンツの内容の質だけでなく、そのページがユーザーにとってどれだけ快適で利便性が高く、安全であるかという「使いやすさ」の側面を評価し、検索ランキングに反映させることを目的としています。
この指標は、2021年6月からモバイル検索に、2022年2月からはPC検索にも導入されています。
ページエクスペリエンスを構成する主要なシグナル
ページエクスペリエンスは、主に以下の5つの要素(シグナル)から構成されます。
1. Core Web Vitals (ウェブに関する主な指標)
Core Web Vitalsは、Webページの読み込み速度、応答性、視覚的な安定性という、ユーザー体験に直結する3つの要素を数値化・評価する指標です。
・LCP (Largest Contentful Paint):読み込みパフォーマンス。ページ内で最も大きいコンテンツ(画像やテキストブロックなど)がビューポートに表示されるまでの時間。2.5秒以内が「良好」の目安です。
・FID (First Input Delay):インタラクティブ性。ユーザーが最初にページを操作(クリックやタップなど)してから、ブラウザがその操作に応答するまでの時間。100ミリ秒未満が「良好」の目安です。
・CLS (Cumulative Layout Shift):視覚的な安定性。ページの読み込み中に、予期せぬレイアウトのずれ(コンテンツのガタつき)がどれだけ発生したかを測定します。予期せぬズレは誤クリックなどを引き起こし、ユーザー体験を損ないます。スコアが0.1未満が「良好」の目安です。
2. モバイルフレンドリー (Mobile Friendliness)
モバイルデバイス(スマートフォン)での表示や操作のしやすさに関する指標です。
・モバイルフレンドリーなページとは、文字が小さすぎないか、タップ要素(ボタンなど)が適切な大きさで配置され隣接していないか、ビューポートが正しく設定されているかなど、モバイル端末で快適に閲覧・操作できる設計になっているページを指します。
3. HTTPSセキュリティ (HTTPS Security)
Webサイトが安全に通信できる状態であるかを示す指標です。
・HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)は、ユーザーのデバイスとサーバー間の通信を暗号化するプロトコルです。これにより、個人情報やクレジットカード情報などの機密情報が盗聴・改ざんされるリスクを防ぎます。
・HTTPS化されているサイトは安全であると判断され、ページエクスペリエンス評価において重要視されます。
4. 煩わしいインタースティシャルがないこと (No Intrusive Interstitials)
ユーザーがコンテンツを閲覧しようとする際に、それを遮る邪魔な要素(インタースティシャル)がないかを評価します。
・インタースティシャルとは、画面全体を覆い隠すポップアップ広告や、コンテンツを見る前に強制的に表示される全画面表示の案内などを指します。これらはユーザー体験を大きく損なうため、基本的に避けるべきとされています。
・ただし、法的な義務(Cookieの使用同意や年齢確認など)に基づくものや、ログインが必要な非公開コンテンツのログインダイアログなどは、煩わしいインタースティシャルと見なされない場合があります。
5. (旧指標)セーフブラウジング
かつてはページエクスペリエンスに含まれていましたが、2024年4月にGoogle検索のランキングシグナルから除外されました。これは、サイトがマルウェアやフィッシングなどのセキュリティ上の問題を含んでいないかを確認する指標でしたが、現在もセキュリティ対策はウェブサイト運営の基本として重要です。
SEOへの影響と対策
SEOにおける重要性
ページエクスペリエンスシグナルは、コンテンツの質と同じく検索順位を決定する要素の一つです。
・Googleは、「コンテンツの質が同等か、それに近いページが複数ある場合、ページエクスペリエンスがより優れているページを上位に表示する可能性がある」と説明しています。
・つまり、競合サイトとコンテンツの質で差がつきにくい場合、ページエクスペリエンスの改善が決定的な差別化要因となり得ます。
・優れたページエクスペリエンスは、離脱率の低下や滞在時間の向上など、間接的なSEO効果ももたらします。
※自身のWebページのページエクスペリエンスの評価は、Google Search Console(サーチコンソール)の「エクスペリエンス」レポートで確認できます。
ページエクスペリエンスの改善は、技術的な最適化(テクニカルSEO)が多くを占めますが、ユーザーファーストの視点に立ち、ストレスなく情報にアクセスできる環境を提供することが最も重要です。


